この記事では、プロジェクトの立ち上げ〜クロージングまで、プロジェクトマネージャー（PM）の仕事内容を徹底解説しています。
プロジェクトマネージャー（PM）とは
プロジェクトマネージャー（PM）とは、プロジェクトの計画、実行、監視、そして完了までの全工程を統括する専門家です。プロジェクトマネージャーは、チームの目標・方針を具体化し、予算、期間、人材のバランスを取りながら、プロジェクトを成功に導く役割を担っています。
プロジェクトの成功を目指し、円滑なコミュニケーションを保ちながら、ステークホルダーと協力して課題をクリアすることが求められます。
また、変更要求や予期せぬ問題に柔軟に対応し、品質と納期を確保するため、適切な意思決定力とリーダーシップが不可欠です。
プロジェクトマネージャーは、チームを束ねつつも各専門家と連携し、目標達成に向けて尽力するプロフェッショナルな存在なのです。
プロジェクトマネージャーの仕事内容
プロジェクトマネージャー（PM）の仕事内容とは、プロジェクトを成功に導くための幅広い業務を指します。プロジェクトの立ち上げからクロージングまでの工程で、スコープやコスト、品質の管理はもちろん、リスクの予測や対応、ステークホルダーとのコミュニケーションなど、多岐にわたる業務を担当します。
ここでは、プロジェクトマネージャーの11の仕事内容について解説します。
プロジェクトの立ち上げ
プロジェクトの立ち上げは、プロジェクトマネージャーにとって重要な仕事の一つで、プロジェクトが円滑に進むための土台作りを行うフェーズです。
プロジェクトの目的や目標を明確にし、計画を立てることで、チームメンバーやステークホルダーが共通の目標に向かって進むことができるようになります。
立ち上げの段階では、チームの役割分担やタスクの割り振り、スケジュールの設定なども行われます。適切な立ち上げを行うことで、後々のプロジェクトの進行をスムーズにし、問題やリスクを最小限に抑えることが可能になります。
仕事内容
- プロジェクト目的と目標の明確化
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの目的と目標を明確にすることが求められます。これにより、チームメンバーが共通の理解を持ち、効率的に業務を進めることができます。
- プロジェクト計画の策定
プロジェクトの計画を策定し、具体的なタスクやスケジュールを決めることで、プロジェクトの進行を管理しやすくなります。計画は柔軟性を持たせることも重要で、変更があった場合に対応できるようになっていることが望ましい。
- チーム編成と役割分担
プロジェクトマネージャーは、チームメンバーを適切に編成し、役割分担を明確にすることが重要です。これにより、各メンバーが自分の役割を理解し、効率的に業務を遂行できるようになります。
プロジェクトの立ち上げにおいて、プロジェクトマネージャーが注意すべきポイントはいくつかあります。
まず、目的と目標が明確であることを確認することが重要です。不明確な目的や目標では、チームメンバーが何を達成すべきか理解できず、業務の効率が低下してしまいます。また、目標設定時にはSMART(*)を適用することで、達成可能で明確な目標を設定できます。
次に、計画策定時には、現実的なスケジュールを組むことが重要です。過度な期待や無理なスケジュールは、チームメンバーのモチベーション低下や過労につながるため、注意しましょう。計画の途中で変更が生じた場合に柔軟に対応できるよう、計画の見直しやアップデートを適宜行うことも必要です。
さらに、チーム編成や役割分担においては、メンバーのスキルや経験を考慮し、適切なポジションに配置することが求められます。また、メンバー間のコミュニケーションを円滑に行えるよう、オープンな雰囲気作りや定期的なミーティングの実施が効果的です。
SMARTは以下の頭文字を取った言葉で構成されています。
- Specific（具体的）
目標が明確で詳細に記述されていること。
曖昧さがなく、具体的なアクションや成果が明記されていることが望ましい。 - Measurable（測定可能）
目標が数値や基準によって測定・評価できること。
達成状況を把握しやすく、目標達成の判断ができるようになっていることが重要。 - Achievable（達成可能）
目標が現実的で達成可能な範囲内に設定されていること。
リソースやスキル、制約条件を考慮して、チームが達成できる目標を立てることが求められます。 - Relevant（関連性）
目標がプロジェクトや組織の目的に沿ったものであること。
目標が関連性を持っていれば、効果的な成果が期待でき、チームのモチベーションも向上します。 - Time-bound（期限設定）
目標には期限が設定されていること。
期限を設けることで、プロジェクトの進捗管理がしやすくなり、達成に向けた具体的なスケジュールが立てられます。
スコープ管理
スコープ管理は、プロジェクトで達成すべき成果物や作業範囲を明確にし、変更があった際、適切に対応することを目的としています。これにより、プロジェクトの効率を高め、期間内に目標を達成することが可能になります。
計画フェーズでの仕事内容
- スコープの明確化
プロジェクトの範囲を明確にし、期待される成果物やタスクをリストアップします。これにより、プロジェクトの目標と進め方をチーム全体で共有できます。
- 要件定義の策定
顧客やステークホルダーからの要望を具体的な要件に落とし込み、それらを達成するための手段を検討します。この過程で、無理な要望や矛盾する要望がないか確認し、調整を行います。
- スコープ管理計画の作成
スコープの変更が発生した際の対応策や手順を明確にする計画を立てます。これにより、変更があった場合でも円滑に対応することができます。
計画フェーズでは、プロジェクトマネージャーはスコープ管理において注意深く対応することが求められます。顧客やステークホルダーとのコミュニケーションを大切にし、要件定義の段階で適切な調整を行いましょう。
また、スコープの変更が避けられない場合もありますので、スコープ管理計画を事前に策定し、変更が発生した際の対応策や手順を明確にしておくことが重要です。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- スコープの監視
プロジェクトの進捗を定期的に確認し、スコープに従って作業が遂行されているか監視します。これにより、スコープの逸脱や変更要求が早期に発見され、適切な対応が可能になります。
- 変更要求の管理
スコープ変更が発生した際、スコープ管理計画に従って対応します。変更内容を詳細に検討し、影響範囲やリスクを評価した上で、適切な判断を行います。
- スコープの調整
変更要求が承認された場合、プロジェクトのスコープを更新し、関連する計画やドキュメントも修正します。この過程で、チームメンバーやステークホルダーと連携し、情報を共有することが重要です。
実行・管理・監視フェーズでは、スコープの逸脱や変更要求が発生しないように注意が必要です。定期的なモニタリングを行い、早期に問題を発見しましょう。
また、変更要求があった場合は、影響範囲やリスクを綿密に評価し、適切な判断を下すことが重要です。変更が承認された場合は、関連する計画やドキュメントの修正を忘れず、情報共有を徹底して下さい。
終結フェーズでの仕事内容
- スコープの確認
プロジェクトの最終成果物がスコープに沿って作成されたかを確認します。必要に応じて、顧客やステークホルダーにも確認を求めることがあります。
- 成果物の引き渡し
スコープに沿った成果物が完成したことを確認した後、顧客やステークホルダーに引き渡します。引き渡し時には、成果物の使用方法や保守についても説明が必要です。
- スコープ管理の振り返り
プロジェクト終了後、スコープ管理の効果や問題点を振り返り、改善点を見つけ出します。これにより、次回のプロジェクトでスコープ管理の質を向上させることができます。
成果物の確認や引き渡し時には、顧客やステークホルダーとのコミュニケーションが大切です。スコープに沿った成果物が確実に引き渡されるよう、慎重に納品作業を進めましょう。
進捗管理
進捗管理とは、プロジェクトの進行状況を監視し、計画通りに実行されているかを確認するプロセスです。プロジェクトマネージャーは、進捗管理を通じて、タスクやリソースの状況を把握し、問題が発生した場合には迅速に対策を講じることが求められます。プロジェクトがスムーズに進行し、期限内に目標を達成するために、進捗管理は重要な役割を担っています。
計画フェーズでの仕事内容
- 進捗管理の計画立案
プロジェクト開始前に、進捗管理の計画を立てることが重要です。期間、コスト、品質などの目標を設定し、それに応じたスケジュールを作成します。
- 進捗管理ツールの選定
プロジェクトの進捗を効率的に管理するために、適切なツールを選ぶことが必要です。ツール選定には、チームメンバーとの相談も含め、慎重に行いましょう。
- 進捗管理のルール設定
進捗管理がスムーズに行えるように、進捗報告の頻度やフォーマット、責任者などのルールを設定します。
計画フェーズでは、進捗管理の計画を立てる際にリアルな目標を設定することが重要です。また、チームメンバーとのコミュニケーションを大切にし、全員が納得できる進捗管理のルールを設定しましょう。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- 進捗状況の確認
プロジェクトが進行する中で、定期的に進捗状況を確認し、予定通りに進んでいるかをチェックします。
- 進捗報告の受け取り・整理
チームメンバーからの進捗報告を受け取り、適切な形式で整理し、全体の進捗状況を把握します。
- 問題発見と対策立案
進捗状況の確認や報告を通じて、問題や遅延が発生していることが分かった場合、原因を特定し、適切な対策を立てます。
実行・管理・監視フェーズでは、定期的な進捗確認を行うことが重要です。また、問題が発生した際には、柔軟な対応が求められます。早急に対策を立て、プロジェクトを適切に誘導しましょう。
終結フェーズでの仕事内容
- 進捗状況の最終確認
プロジェクト終了前に、全体の進捗状況を最終確認し、目標達成度を評価します。
- プロジェクトの総括
プロジェクト全体の進捗状況や成果物の評価をもとに総括を行い、今後の改善点を見つけ出します。
終結フェーズでは、プロジェクト全体を振り返ることが大切です。進捗管理の観点からも、今後の改善点を明確にし、次のプロジェクトに活かすことが求められます。
コスト管理
プロジェクトの成功に向けて、さまざまな要素を管理し、効果的に進めていくことが求められますが、特に重要なのが「コスト管理」です。
コスト管理は、プロジェクト全体の予算策定から実際の支出までを綿密に計画・管理し、効果的な資源配分を実現するための重要なプロセスです。適切なコスト管理が行われないと、予算超過やリソースの無駄遣いが発生し、プロジェクトの成果に悪影響を与えることがあります。それゆえ、プロジェクトマネージャーにとって、コスト管理のスキルは必須となります。
計画フェーズでの仕事内容
- コスト予算の策定
まずはプロジェクト全体のコスト予算を策定します。予算策定には、リソースのコスト、材料費、外注費など、プロジェクトで発生するすべての費用を考慮する必要があります。
- コスト見積りの作成
予算策定に続いて、各タスクやフェーズごとのコスト見積りを作成します。見積りは、リソースの使用量や作業時間などを基に、費用を算出することが求められます。
- コスト管理計画の策定
予算や見積りをもとに、コスト管理計画を策定します。管理計画には、コスト管理方法、予算の割り振り方、コスト変動時の対応策などが含まれます。
計画フェーズでは、予算策定や見積り作成の際に、過去のプロジェクトや業界基準を参考にすることが重要です。また、予期せぬコストの増加に備えて、予備費用を設けることも忘れずに行いましょう。
さらに、コスト管理計画はプロジェクトの進行に合わせて柔軟に見直し、効率的な資源配分を常に心掛けることが求められます。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- コスト管理の実行
コスト管理計画に従って、予算の配分や支出を管理します。また、プロジェクト全体のコストパフォーマンスをモニタリングし、必要に応じて見直しを行うことが重要です。
- コストの監視と報告
定期的にコストの進捗を監視し、報告書を作成します。報告書には、予算と実績の比較やコストパフォーマンス指数（CPI）などの詳細が含まれます。
- コスト変動の対応
コスト変動が発生した際には、コスト管理計画に基づいて迅速かつ適切な対応を行います。対応策としては、リソースの再配分や作業効率の向上、予備費用の活用などが考えられます。
実行・管理・監視フェーズでは、コスト管理において透明性を保ち、ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行うことが重要です。また、定期的な監視や報告を通じて、予算と実績の乖離が生じないよう注意を払いましょう。
予期せぬコスト変動にも柔軟に対応し、プロジェクトの目標達成に向けて最適な資源配分を目指すことが、プロジェクトマネージャーに求められます。
終結フェーズでの仕事内容
- コストの最終監査
プロジェクト終了時には、コストの最終監査を実施します。具体的には、予算と実績の最終比較や、コストパフォーマンスの評価などを行います。
- コスト管理の総括
コスト管理に関する成果や課題を総括し、今後のプロジェクトに活かすための改善点を特定します。この総括は、プロジェクトのクロージング報告にも反映されます。
- コスト管理のノウハウ共有
プロジェクトで得られたコスト管理のノウハウを、他のプロジェクトマネージャーやチームメンバーと共有し、組織全体のコスト管理力の向上に貢献しましょう。成功事例や課題解決の方法、改善策などをドキュメント化し、知識の蓄積と活用を促進することが期待されています。
終結フェーズでは、プロジェクト全体を通じたコスト管理の効果や課題を総括することが重要です。プロジェクトの経験を活かし、今後のプロジェクトでのコスト管理力向上に繋げることを目指しましょう。
また、組織全体の成長のためにノウハウ共有を行い、他のプロジェクトマネージャーやチームメンバーと協力して継続的な改善を進めることが求められています。
品質管理
プロジェクトの品質を確保することは、顧客満足度やチームの信頼を築く上で欠かせません。しかし、多くのプロジェクトマネージャーが品質管理の重要性を認識しつつも、具体的な方法や実践に悩んでいることが少なくありません。プロジェクトマネージャーが品質管理に重点を置くことで、プロジェクトの成功に大きく寄与することができます。
計画フェーズでの仕事内容
- 品質要件の明確化
プロジェクトの品質基準を定め、品質要件を明確にして、チームに共有します。
- 品質管理計画の策定
品質管理手順やツールを選定し、品質監査のタイミングや対象を決定します。
計画フェーズでは、品質管理の基盤を築くことが重要です。品質要件や目標を明確にし、適切な品質管理計画を策定することで、プロジェクトの成功に向けた土台ができます。
このフェーズで品質管理に十分な注意を払うことにより、後のフェーズでのトラブルやリスクを低減できるでしょう。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- 品質監査の実施
品質監査を計画通りに実施し、監査結果を分析して改善点を特定します。
- 品質問題の対応
品質問題が発生した際、迅速に対応し、問題の原因を究明して再発防止策を実施します。
実行・管理・監視フェーズでは、品質管理計画に基づいて品質監査や問題対応を行うことが求められます。また、継続的な改善を通じて品質管理プロセスを最適化することが重要です。
プロジェクトマネージャーは、リーダーシップを発揮し、メンバーの品質に対する意識を向上させることを心掛けましょう。
終結フェーズでの仕事内容
- 品質の最終評価
プロジェクト成果物の品質を総合的に評価し、品質目標の達成状況を確認して結果を報告します。
- 品質管理の振り返り
品質管理の取り組みや成果について振り返り、プロジェクト全体の品質管理の課題や改善点を特定し、次のプロジェクトに活かすための知見をまとめます。
終結フェーズでは、品質管理活動の総括と、次のプロジェクトへの知見の継承が重要です。品質の最終評価を行い、プロジェクト全体の品質管理について振り返ることで、今後のプロジェクトに活かせる知見や改善点を見つけ出すことができます。
組織マネジメント
組織マネジメントは、プロジェクトマネージャーの重要な仕事の一つであり、プロジェクトチーム全体の働きやすさや生産性を向上させる役割を果たします。
計画フェーズでの仕事内容
- チーム編成
プロジェクトの成功に向け、適切なスキルを持つメンバーを集めてチームを編成します。その際、個々の能力や役割に合わせて最適な配置を検討することが重要です。
- 役割分担
プロジェクトチームの役割分担を明確にし、各メンバーがどのような業務を担当するかを把握します。責任と権限が明確になり、円滑なチーム運営が期待できます。
- チームビルディング
チームメンバーの協力体制を整えるために、チームビルディング活動を計画します。これにより、チームの一体感が増し、チーム内でのコミュニケーションが円滑になります。
計画フェーズでは、プロジェクトマネージャーは、チーム編成や役割分担、チームビルディングなど、プロジェクトチームの基盤を築く役割が求められます。
チーム編成では、適材適所を考慮し、チームメンバーが能力を発揮できる環境を整えることが重要です。また、役割分担では、業務の進行に伴い変更が生じる場合があるため、柔軟な対応が求められます。さらに、チームビルディングでは、メンバー間の信頼関係を築くことが重要であり、定期的な活動やコミュニケーションを促す取り組みを行うことが望ましいです。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- リーダーシップの発揮
プロジェクトマネージャーは、チーム全体を統率し、目標に向かって進むためのリーダーシップを発揮する必要があります。そのためには、適切な指示や助言、フィードバックを行い、チームメンバーをサポートします。
- コミュニケーション促進
チーム内外での円滑なコミュニケーションを促進することで、問題解決や情報共有がスムーズに進みます。定期的なミーティングや報告を実施し、チームの状況を把握することが大切です。
- パフォーマンス評価
チームメンバーのパフォーマンスを評価し、適切なフィードバックや改善提案を行います。これにより、チームの生産性向上やメンバーの成長を促すことができます。
実行・管理・監視フェーズでは、プロジェクトマネージャーはリーダーシップを発揮し、チームを統括する役割が求められます。リーダーシップを発揮するためには、チームメンバーの意見や状況を理解し、適切な指導やサポートを行うことが重要です。また、コミュニケーション促進やパフォーマンス評価を通じて、チームメンバーのモチベーションを維持し、生産性向上に努めることが求められます。
終結フェーズでの仕事内容
- チームメンバーの評価・フィードバック
プロジェクト終了後、チームメンバーのパフォーマンスや貢献度を評価し、適切なフィードバックや指導を行います。これにより、メンバーの成長や次回のプロジェクトでの活躍が期待できます。
- 知識・経験の共有
プロジェクトを通じて得られた知識や経験を他のプロジェクトやチームメンバーと共有します。
終結フェーズでは、プロジェクトマネージャーはプロジェクトの評価やチームメンバーの評価・フィードバック、知識・経験の共有に取り組むことが重要です。プロジェクトの評価では、客観的な指標を用いて成果を測定し、今後の改善点を明確にすることが求められます。
また、チームメンバーの評価・フィードバックでは、適切な評価基準を設定し、公平かつ具体的なフィードバックを行うことが重要です。さらに、知識・経験の共有を通じて、組織全体の成長を促すことが求められます。
コミュニケーション管理
プロジェクトマネージャーが行うコミュニケーション管理は、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトチーム内外の情報共有や意思疎通を円滑に進めることが欠かせません。
計画フェーズでの仕事内容
- コミュニケーション計画の策定
計画フェーズでは、プロジェクトマネージャーはコミュニケーション計画を策定します。これには、情報の共有方法や頻度、対象者、報告書のフォーマットなどを明確に定めることが含まれます。
- 役割と責任の明確化
プロジェクトチーム内での役割分担や責任範囲を明確化し、メンバー間のコミュニケーションが円滑に行われるようにします。また、プロジェクトスポンサーや関係者とのコミュニケーションルートも整備しておくことが大切です。
- コミュニケーションツールの選定
プロジェクトの規模や特性に応じて、適切なコミュニケーションツールを選定し、利用方法や運用ルールをチーム内で共有します。
計画フェーズでは、情報共有が適切に行われることが非常に重要です。そのため、コミュニケーション計画やツールの選定に十分な時間を割くことが求められます。
また、チームメンバーやステークホルダーとの信頼関係を築くことも欠かせません。こうした関係性を築くためには、オープンかつ率直なコミュニケーションを心掛け、メンバーの意見や要望を適切に受け止めることが大切です。
さらに、コミュニケーションツールを選定する際には、チームメンバーの技術スキルや遠隔作業の状況を考慮して、使い勝手の良いツールを選ぶことが重要です。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- 情報共有の実施
実行・管理・監視フェーズでは、プロジェクトマネージャーは計画フェーズで策定したコミュニケーション計画に従って、定期的に情報共有を行います。これには、プロジェクトの進捗状況や課題、リスクなどの情報を適切な形式で報告することが含まれます。
- ステークホルダーへの報告
プロジェクトマネージャーは、ステークホルダーに対しても適切なタイミングで情報を提供します。これにより、ステークホルダーの理解や協力を得られることが期待できます。
- チーム内コミュニケーションの促進
プロジェクトマネージャーは、チーム内で円滑なコミュニケーションが行われるように、積極的にコミュニケーションの場を設けたり、メンバー同士の意見交換を促したりします。
実行・管理・監視フェーズでは、情報共有を円滑に行うだけでなく、チームメンバーの意見や要望に耳を傾けることが重要です。また、適切なフィードバックやサポートを提供することで、チームの士気を高め、生産性を向上させることができます。
終結フェーズでの仕事内容
- 「振り返りミーティング」の実施
プロジェクト終了後、チームメンバーと一緒に「振り返りミーティング」を実施し、プロジェクト全体のコミュニケーションの効果や問題点を議論します。
- 感謝の表現
プロジェクト終了時には、チームメンバーやステークホルダーに感謝の意を表し、良好な関係を維持することを心掛けましょう。
終結フェーズでは、プロジェクトの成果を適切に評価し、チームメンバーやステークホルダーに伝えることが重要です。また、「振り返りミーティング」では、ポジティブなフィードバックと共に、改善点や問題点をオープンに議論することで、次のプロジェクトに向けてチームの成長を促すことができます。
リスク管理
リスク管理は、プロジェクトの初期段階から最終段階まで継続的に実施すべきタスクです。それぞれのフェーズで異なるアプローチが必要となりますが、全体を通じてリスクの特定、分析、対策の立案と実施が求められます。
計画フェーズでの仕事内容
- リスクの特定
プロジェクト初期段階で、潜在的なリスクを洗い出します。リスク源は技術的、経済的、環境的、人的要因など多岐にわたります。
- リスク評価
各リスクに対して、発生確率と影響度を評価し、リスクマトリクスを作成します。これにより、対策の優先順位を決めることができます。
- リスク対策の策定
各リスクに対して、予防策や緩和策、回復策を考え、対策を策定します。リスク対策は、プロジェクト全体の安定を図る上で重要です。
計画フェーズでのリスク管理は、プロジェクト全体の安定性を高めるために不可欠です。リスクの特定や評価には、チームメンバーや関係者とのコミュニケーションが欠かせません。また、リスク対策を策定する際には、適切なリソース配分や、スケジュールへの影響を検討することが重要です。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- リスクモニタリング
プロジェクト進行中、継続的にリスクを監視します。リスク状況の変化に応じて、対策を見直す必要があります。
- リスク対策実行
策定したリスク対策を適切なタイミングで実行します。対策の効果を確認するために、定期的なレビューも行いましょう。
- リスク報告
リスクの状況や対策の進捗を、定期的にステークホルダーに報告します。透明性を保ち、適切な意思決定を促進することが重要です。
実行・管理・監視フェーズでは、リスク管理を円滑に進めるために、適切な情報共有が重要です。また、柔軟性を持ってリスク対策を適応させることが求められます。計画フェーズで策定した対策だけでなく、新たなリスクにも対応できるよう柔軟なリスク管理体制を整えましょう。
終結フェーズでの仕事内容
- リスクの収束
プロジェクト終盤において、リスクが収束していることを確認します。未解決のリスクがあれば、引き続き対策を実施していく必要があります。
- リスク管理の評価
実施したリスク管理の効果を評価し、今後のプロジェクトに活かせる知見を得ましょう。効果的な対策や、改善が必要な点を検証します。
- リスク管理の知識共有
経験したリスク管理のノウハウを、組織全体で共有します。これにより、他のプロジェクトでもリスク管理の質を向上させることができます。
終結フェーズでは、プロジェクトのリスク管理を総括します。リスク管理の効果を評価し、組織全体での知識共有に努めることで、今後のプロジェクトに対するリスク管理の質を高めることができます。
調達管理
調達管理は、プロジェクトマネージャーが行う重要な仕事内容の一つであり、プロジェクトの目標達成に必要なリソースやサービスを効率的かつ適切に調達するプロセスです。
計画フェーズでの仕事内容
- 調達計画の作成
調達計画は、プロジェクトの全体的な調達戦略を立案するために重要です。予算やスケジュールに基づいてリソースやサービスの必要性を判断し、最適な調達方法を選択します。
- リソースの特定
調達計画に基づいて、必要なリソースやサービスを特定します。これには、人員や設備、外部サービスなどが含まれます。
- 仕様書の作成
調達対象となるリソースやサービスの仕様を明確にするため、仕様書を作成します。これにより、供給者との交渉をスムーズに進めることができます。
計画フェーズでは、予算やスケジュールに則り、調達計画を策定します。仕様書の作成時には、認識のズレや誤解を防ぐために、具体的かつ明確な表現で要件を記述することが求められます。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- 契約交渉
リソースやサービスの供給者と契約交渉を行い、最適な条件での調達を目指します。これには、価格、納期、品質などの要素が含まれます。
- リソースの確保
契約交渉が完了したら、リソースやサービスの確保を行います。調達したリソースやサービスの納品スケジュールを管理し、プロジェクトの進捗に影響を与えないようにします。
実行・管理・監視フェーズでは、契約交渉やリソースの確保、納品スケジュールの管理を行います。契約交渉では相手との信頼関係構築や柔軟な対応が求められるため、コミュニケーション能力が欠かせません。
終結フェーズでの仕事内容
- リソースの解放や契約のクロージング
プロジェクトの終了に伴い、使用していたリソースやサービスを解放します。人員の配置転換や設備の廃棄の他、外部サービスの契約整理や支払い手続きなどが含まれます。
- 調達成果の評価
プロジェクトが完了した後、調達管理の成果を評価します。これにより、今後のプロジェクトに活かすための知見を得ることができます。
終結フェーズでは、プロジェクトマネージャーはリソースの解放や契約のクロージング、調達成果の評価を行います。リソースの解放では、効率的かつ適切な方法でリソースを解放し、企業の資産を最大限活用することが求められます。
また、契約のクロージングでは、すべての契約条件が遵守されていることを確認し、問題がないかを検証することが重要です。
さらに、調達成果の評価では、プロジェクトの成果と調達管理の関係を検証し、今後のプロジェクトの改善点を抽出します。
ステークホルダー管理
ステークホルダー管理は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素であり、プロジェクトマネージャーの重要な仕事内容の一つです。ステークホルダーとは、プロジェクトに関心を持つ人々のことで、クライアントや顧客、チームメンバー、上司などが該当します。彼らの期待に応え、納得感を得ることがプロジェクトの成功に繋がります。
計画フェーズでの仕事内容
- ステークホルダーの特定と分析
ステークホルダーを特定し、彼らのニーズや期待を分析します。これにより、プロジェクトの目標や方針が明確化され、効果的なコミュニケーションが可能になります。
- ステークホルダーとのコミュニケーションプランの策定
ステークホルダーとのコミュニケーションプランを策定します。これには、コミュニケーションの方法や頻度、情報共有の仕組みなどが含まれます。適切なコミュニケーションプランを立てることで、ステークホルダーと円滑な関係を築けます。
- ステークホルダーへのプロジェクトの説明と合意形成
ステークホルダーにプロジェクトの概要や目標、リスクなどを説明し、合意を形成します。これにより、プロジェクトがスムーズに進行する土台が整います。
計画フェーズでは、ステークホルダーの期待や要望をしっかりと理解し、それらをプロジェクトの目標や方針に反映させることが重要です。また、ステークホルダー間で意見や情報が食い違っている場合は、早期に調整や説明を行い、合意を形成することが求められます。適切なコミュニケーションを心掛けることで、プロジェクト全体の進行がスムーズになります。
実行・管理・監視フェーズでの仕事内容
- ステークホルダーとの定期的なコミュニケーション
実行・管理・監視フェーズでは、ステークホルダーと定期的にコミュニケーションを取ることで、プロジェクトの進捗状況や問題点が共有され、適切な対応が可能となります。
- ステークホルダーのフィードバックの受け入れ
ステークホルダーからのフィードバックを受け入れ、プロジェクトの改善に取り組みます。これにより、プロジェクトの質が向上し、ステークホルダーの満足度も高まります。
実行・管理・監視フェーズでは、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要です。適切なタイミングで情報を共有し、フィードバックを受け入れることで、プロジェクトの質を向上させることができます。また、ステークホルダーからの要望に柔軟に対応し、信頼関係を築くことが求められます。
終結フェーズでの仕事内容
- プロジェクトの成果物の評価とフィードバックの収集
終結フェーズでは、プロジェクトの成果物をステークホルダーに評価してもらい、フィードバックを収集します。これにより、今後のプロジェクトでの改善点や教訓が明確になります。
- ステークホルダーへの成果物の引き渡し
プロジェクトの成果物をステークホルダーに引き渡します。この際、成果物の使用方法や保守に関する情報も共有し、スムーズな引き継ぎを実現します。
- プロジェクトの総括とステークホルダーとの振り返り
プロジェクト全体を総括し、ステークホルダーと振り返りを行います。これにより、プロジェクトの成功要因や失敗要因を分析し、今後の参考にすることができます。
終結フェーズでは、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要です。成果物の引き渡しや振り返りを通じて、ステークホルダーとの信頼関係を維持し、今後の協力関係を築くことが求められます。また、収集したフィードバックを今後のプロジェクトに活かすことで、より良いプロジェクトマネジメントが実現できます。
プロジェクトのクロージング
プロジェクトのクロージングは、プロジェクトが完了し、目標を達成した段階で行われる一連のプロセスです。
仕事内容
- 成果物の受け渡しとレビュー
プロジェクト完了時には、成果物をクライアントやステークホルダーに受け渡し、その品質を評価してもらいます。
- チームの解散と感謝の言葉
プロジェクト終了後、チームメンバーを解散させます。解散前には、チームの成果を称え、感謝の言葉を述べることが重要です。これにより、チームの士気を高め、次のプロジェクトへの意欲を維持させることができます。
- ドキュメントの整理と保存
プロジェクトの成果物や資料を整理し、適切な場所に保存します。また、必要な場合は、ドキュメントを更新し、後から参照しやすいように管理します。
- プロジェクトの評価とフィードバック
プロジェクトの成否を評価し、成功した点や改善すべき点を明確にします。これにより、次のプロジェクトで同じ問題を繰り返さず、より効果的なプロジェクト運営が可能となります。
クロージングには、成果物の受け渡しやレビュー、チームの解散、ドキュメントの整理のほか、プロジェクトの評価などが含まれます。
プロジェクトマネージャーは、効果的なフィードバックを受け取り、今後のプロジェクトに活かすことが重要です。また、クロージングを適切に行うことで、プロジェクトの成功を確実にし、関係者に対してプロジェクトの価値を伝えることができます。
プロジェクトマネージャーの仕事に必要なスキル
プロジェクトマネージャーには、多岐にわたるスキルが求められます。最も基本的なスキルとして、プロジェクトの計画、実行、監視、そして終結の各フェーズを効果的にマネジメントする能力が挙げられます。このマネジメントスキルは、プロジェクトが予定通りに、かつ予算内で完了させるために不可欠です。
プロジェクトを円滑に進行させるためには、コミュニケーション能力も極めて重要です。プロジェクトマネージャーは、チームメンバー、ステークホルダー、顧客、そして場合によっては外部のベンダーとも効果的にコミュニケーションを取る必要があります。明確かつ効率的なコミュニケーションにより、期待を正しく管理し、ミスの発生を防ぎ、全員が同じ方向を目指して努力できるようになります。
また、問題解決スキルもプロジェクトマネージャーには求められます。プロジェクトの過程で予期せぬ問題や課題が発生した場合、迅速かつ効果的に解決策を見つけ出し、適用する能力が必要です。このスキルは、プロジェクトを軌道修正し、目標達成に向けて前進させるために不可欠です。
リーダーシップもプロジェクトマネージャーが持つべき重要なスキルの一つです。チームメンバーを適切に指導し、モチベートすることで、彼らの能力を最大限に引き出し、プロジェクトの成功を実現します。強固なリーダーシップは、チームの結束を高め、目標達成に向けてチーム全体を推進する力となります。
これらのスキルは、プロジェクトマネージャーが成功するために不可欠な要素です。プロジェクトマネジメント、コミュニケーション、問題解決、リーダーシップといった能力を磨くことで、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアを有意義なものにすることができます。
プロジェクトマネージャーの仕事に役立つ資格
プロジェクトを成功に導くために必要な知識やスキルを体系的に学び、その能力を証明する手段として重要です。ここでは、日本語で受験できる資格・試験をいくつか紹介します。
- プロジェクトマネージャ試験
情報処理推進機構（IPA）が実施する日本国内でのプロジェクトマネジメント能力を認定する資格・試験です。国内のITプロジェクトにおけるマネジメントスキルの基準として広く認知されており、プロジェクトマネージャ試験を取得することは大きなアドバンテージになります。
- PMP
プロジェクトマネジメントの知識体系（PMBOKガイド）に基づく試験をクリアすることで取得できる国際資格です。グローバルスタンダードなプロジェクトマネジメントの手法を学ぶことができ、世界中でその能力が認められます。
公式サイトPMI日本支部：PMP資格について - PMOスペシャリスト認定資格
PMO（プロジェクト・マネジメント・オフィス）の設置・運用に関する専門性を認定する資格です。PMOの役割が重要視される現代において、プロジェクトの成功を支援するための知識とスキルを身につけることができます。
これらの資格は、プロジェクトマネージャーとしての専門性を高めるだけでなく、プロジェクトの成功率を向上させるために役立つ知識とスキルを習得することができます。自身のキャリアパスや関心に応じて、適切な資格・試験の取得を目指しましょう。
2024年2月現在、日本語で受験できるPM資格・試験には、上記以外にP2M資格試験、CompTIA Project+があります。下記の記事では、それぞれの資格・試験の特徴を詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
また下記の記事では、プロジェクトマネージャーの転職におすすめのエージェントを解説していますので、あわせてご覧ください。
- 転職エージェントIT・PM転職におすすめの転職エージェント
- スカウト転職向けIT・PM転職におすすめの転職スカウトサービス
- フリーランス向けPM・PMOにおすすめのフリーランスエージェント
