PM(プロジェクトマネージャー)とPdM(プロダクトマネージャー)の違い

この記事では、プロジェクトマネージャー(PM)プロダクトマネージャー(PdM)の違いから、PdMの求人がPMより少ない理由まで、分かりやすく解説しています。

  • PdMへのキャリアチェンジを考えているPM
  • PM、PdMへのキャリアアップを考えているPL・SE

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PMとPdMの違い【要約】

PM(プロジェクトマネージャー)とPdM(プロダクトマネージャー)の違い【要約】

PMとPdMは、名称が似ているため混同されることがありますが、役割や責任、業務範囲は大きく異なります。

PM(プロジェクトマネージャー)とPdM(プロダクトマネージャー)の最大の違いは、PMが「プロジェクトの実行」に焦点を当てているのに対し、PdMは「製品の戦略やビジョン」に重点を置いている点です。PMは短期的な目標達成に重点を置き、プロジェクトの納期や予算を管理します。対照的に、PdMは長期的な視点を持ち、製品の成功と進化を促進することに注力します。

PMは、予算、期限、品質を重視し、効率的なプロジェクト進行に重点を置いています。PMの主な業務には、リスク管理、品質管理、コスト管理、スケジュール管理などが含まれ、これらを通じてプロジェクトの目標達成を目指します。PMはタスク志向であり、プロジェクトチームや顧客、ステークホルダーと頻繁にコミュニケーションを取りながら、具体的な作業を着実に進めていきます。

一方、PdMは製品の市場適合性、顧客満足度、長期的な製品戦略に焦点を置き、市場ニーズに基づいた製品開発をリードします。PdMの業務には、市場調査、顧客分析、競合分析、製品開発の指揮が含まれ、製品の成功と長期的な成長が求められます。PdMはビジョン指向であり、変革的なリーダーシップを発揮することで、製品チームやマーケティングチームの創造性を刺激し、イノベーションを推進します。

次のセクションでは、PMとPdMの違いについて、7つの観点で詳しく解説しています。

PMとPdMの違い【観点別】

PM(プロジェクトマネージャー)とPdM(プロダクトマネージャー)の違い【観点別】

マネジメントする対象が違う

PMとPdMの役割を理解する上で、まずは「プロジェクト」と「プロダクト」の基本的な違いを把握することが重要です。

プロジェクトとは

「プロジェクト」という言葉は、IT業界をはじめとする多くのビジネス分野で頻繁に使用されます。しかし、その具体的な定義は時として、あいまいになりがちです。プロジェクトとは、一般的に、特定の目的や成果を達成するために実施される一時的な活動を指します。この「一時的な」性質がプロジェクトの特徴的な要素の一つであり、プロジェクトは継続的な運営ではなく、明確な開始点と終了点を持ちます。

IT業界でのプロジェクトは、主にシステム開発、ネットワーク構築、システム統合といった技術的な活動を指します。これらのプロジェクトは、新しい技術の導入、既存システムのアップグレード、クライアントのビジネスニーズに対応したカスタマイズ開発など、多岐にわたる目的で行われます。

ITプロジェクトの一つ一つは、特定の目標や成果に焦点を当てた独立した活動です。明確な開始日と終了日があり、プロジェクト固有の目標を達成するために必要なリソース(時間、予算、人材など)が割り当てられます。これらのリソースはプロジェクト終了後に開放され、別のプロジェクトに再配分されることが一般的です。

プロダクトとは

PdMの役割を理解するためには、まず「プロダクト」とは何かを明確にする必要があります。プロダクトとは、一般的に市場で提供される製品やサービスのことを指します。これには、物理的な製品だけでなく、ソフトウェアやオンラインサービスも含まれます。

プロダクトの成功は、市場のニーズや顧客の要望にどれだけ応えられるかによって決まります。そのため、プロダクトを開発する際には、市場調査、顧客のフィードバック、競合分析などを通じて、市場でのポジションや顧客のニーズを深く理解することが欠かせません。

さらに、プロダクトは単に「売れるもの」を作るだけではなく、「使われ続けるもの」を目指すべきです。これには、品質の維持や改善、顧客サポート、アップデートなど、長期的な視点での管理が求められます。そのため、プロダクト開発には、アジャイルやリーンスタートアップの開発手法が取り入れられることが多く、迅速なプロトタイピングや反復的なテストを通じて、プロダクトの進化を実現しています。

プロジェクトとプロダクトの比較

プロジェクト プロダクト
定義 特定の目的を達成するために、一時的に組織されたチームが取り組む一連の活動 製品やサービス
目的 特定の成果物や成果を生み出すこと 顧客ニーズを満たし、継続的に価値を提供すること
期間 明確な開始日と終了日がある 継続的に開発・改善が行われる
スコープ 事前に定義され、制限される 柔軟で、市場のニーズや技術の進歩に応じて変化する
責任者 PM PdM
管理方法 PMがリードし、計画に従って進行する PdMがリードし、市場の動向や顧客のフィードバックに基づいて調整する
成果物 プロジェクト完了時に特定の成果物が提供される 継続的な改善と更新が行われる製品やサービス
成功基準 プロジェクトの目標達成度によって測定される(期限・予算・品質など) 市場でのパフォーマンスによって測定される(顧客満足度・市場シェアなど)

役割が違う

PMとPdM、この二つの職種は一見似ているように思われがちですが、その役割には大きな違いがあります。具体的には、PMはプロジェクトの成功を目指すのに対し、PdMは製品やサービスの長期的な成長に焦点を当てています。

まず、PMはプロジェクトの計画、実行、監視・制御、および終結の全工程を担当します。主な目的は、予算内で定められた期限までに品質基準を満たす成果物を完成させることです。そのため、PMの業務には予算管理、スケジュール管理、リスク管理などが含まれ、限られたリソースの中で最大限の成果を引き出すことが求められます。

一方、PdMは製品やサービスの戦略立案、ロードマップの策定、市場投入に関わります。製品のライフサイクル全体を通じて、その製品が市場で成功するためのビジョンを描き、長期的な成長を目標とします。PdMの業務には、市場調査、顧客ニーズの把握、競合分析、製品開発の指揮などが含まれ、市場のニーズに応じた製品開発をリードします。

PMが「いかに効率的にプロジェクトを遂行するか」に焦点を当てるのに対し、PdMは「いかに市場に適応し、製品を成長させるか」に注力します。

まとめ
  • PM :プロジェクトの効率的な進行を重視
  • PdM:製品の市場での成功と長期的な成長を重視

必要なスキルが違う

PMとPdMでは、求められるスキルには大きな違いがあります。

PMは、プロジェクトの計画、実行から監視・制御、終結まで、プロジェクトの全工程のマネジメントを担当します。そのため、リスク管理、品質管理、コスト管理、スケジュール管理など、一通りのプロジェクト管理スキルが求められます。さらに、チームメンバーとのコミュニケーション能力や、ステークホルダーとの交渉力も不可欠です。

PMに必要なスキル(一例)
  • プロジェクト管理
  • 効果的なリソース配分とタイムマネジメント
  • チームメンバーやステークホルダーとのコミュニケーション

一方、PdMは製品の戦略、ビジョンを策定し、市場のニーズに基づいて製品を創り上げる役割を担います。そのため、市場調査や顧客分析、競合分析など、市場に関する深い知識が必要です。また、プロダクト戦略を立て、そのビジョンをチームに伝え、目標を達成するためのリーダーシップとチームワークが求められます。プロダクト開発においては、ユーザー体験(UX)やユーザーインターフェース(UI)に関する知識も欠かせません。

PdMに必要なスキル(一例)
  • 市場調査、及び競合分析
  • 戦略的思考と製品ビジョンの設定
  • UX、UIに対する深い理解

成功指標が違う

PMとPdMの違いを深く理解する上で、両者がどのような成功指標を重視するかを把握することは非常に重要です。PMとPdMでは、その達成すべき目標とその指標が大きく異なります。

PMの成功指標は、プロジェクトの品質、納期、コストといった具体的な管理指標に基づいています。プロジェクトが計画通りに進行し、資源を効率的に使用して、定められた期限内に目標を達成することを重視します。

品質 プロジェクトの成果物が顧客の要求や期待を満たすこと。
納期 プロジェクトが計画された期限内に完了すること。
コスト プロジェクトの実行にかかる費用を予算内に抑えること。

一方、PdMは製品の市場適合性や長期的な製品戦略に重点を置いており、これらの具体的な指標により成果を測定します。プロジェクトの完遂に焦点を当てるPMと異なり、PdMは市場の動向や顧客の反応に基づく多岐にわたる指標を用いています。

市場シェアと売上 製品が市場でどれだけのシェアを獲得しているか。売上の成長率。
顧客満足度 ユーザーフィードバック。顧客満足度調査の結果。リピート率。
製品のイノベーション 新機能の導入や改良による市場の反応。競合との差別化。
ユーザーエンゲージメント アクティブユーザー数。使用頻度。アプリ内でのユーザー行動。
製品ロードマップの実現 設定された製品の目標やマイルストーンの達成度合い。
ブランド認知度と評判 ソーシャルメディアやレビューサイトでの言及、ブランドの評判。

以上の点から、PMとPdMでは、成功を測る基準が根本的に異なることが分かります。PMはプロジェクトの範囲内での具体的な成果に注目し、PdMは製品の市場適合性や長期的な戦略に焦点を当てています。

コミュニケーションスタイルが違う

PMとPdMのコミュニケーションスタイルの違いは、責任範囲に起因しています。

PMはプロジェクトを成功させるために、詳細な計画と進捗管理に重きを置きます。そのため、プロジェクトチーム、顧客、ステークホルダーとの間で頻繁にコミュニケーションを取り、プロジェクトの進行状況を共有し、期限内に目標を達成するための調整を行います。

一方、PdMは製品の開発とその市場への導入に焦点を当て、製品戦略やビジョン、顧客ニーズについてのコミュニケーションを行います。これには、競合分析や市場戦略に関する情報が含まれ、主に製品チームやマーケティングチーム、経営層との間で行われます。

リーダーシップスタイルが違う

PMとPdMのリーダーシップスタイルの違いは、それぞれが目指す目標に根ざしています。プロジェクトの成功を目指すPMと、製品の長期的な成功を目指すPdMでは、リーダーシップのアプローチが異なるのです。

PMは時間、予算、品質といった制約の中で効率的なプロジェクト実行を目指すため、より指示的で具体的なアプローチが求められます。そのため、PMのリーダーシップは、具体的な作業の遂行に重きを置き、進捗管理やリスク管理に集中しています。

一方、PdMはよりビジョン指向のリーダーシップスタイルを採ることが多いです。PdMは、より変革的なリーダーシップを発揮することにより、チームの創造性を刺激し、イノベーションを推進します。

まとめ
  • PM :タスク志向、プロセス志向
  • PdM:ビジョン志向、戦略志向

意思決定の判断基準が違う

PMとPdMでは、意思決定を行う際の判断基準が大きく異なります。この違いは、それぞれの役割の根底にある目的と責任の違いから生じています。

PMは主にプロジェクトのスコープ、予算、時間といった制約の中で最適な判断を下します。具体的には、プロジェクトの期限内に品質を維持しつつ、コストを抑えることが求められます。

一方、PdMは製品のライフサイクル全体を見据えた意思決定を行います。PdMの意思決定は、市場のニーズ、顧客の満足度、製品の革新性に重きを置いています。

日本でPdMの求人がPMより少ない理由

PdM(プロダクトマネージャー)の求人がPM(プロジェクトマネージャー)より少ない理由

日本のIT業界では、長らくシステムインテグレーション(SI)や受託開発が主流でした。このようなビジネスモデルでは、ITプロジェクトを効率的に管理するPMの需要が高く、その結果、PMの求人が多くなる傾向にあります。しかし、この状況は徐々に変化しています。

近年、日本のIT企業は、従来のSIや受託開発からSaaSやWebサービスといった、継続的に提供される製品(プロダクト)の開発と運営へとシフトしています。この変化は、PdMの役割がより重要になることを意味しています。PdMは製品のライフサイクル全体を通じて、製品のビジョン、戦略、実装を管理し、製品が市場で成功するための鍵となります。

この変化に伴い、PdMの求人数は増加傾向にあります。しかし、まだ多くの企業が伝統的なビジネスモデルに依存しており、PdMのポジションはそれほど一般的ではありません。特に、大手SIerやコンサル企業においては、PMの役割が依然として中心的であり、そのためPdMの求人数がPMに比べて少ないと言えます。

PM・PdMへのキャリアアップ・キャリアチェンジ

PM(プロジェクトマネージャー)・PdM(プロダクトマネージャー)へのキャリアアップ・キャリアチェンジ

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